
UESの製品は、天然の素材を活かし、ナチュラルな経年変化を楽しんでいただけるようなモノ作りを行っています。そのため、色落ちも魅力の一つと捉えています。洗濯や染めの基礎を知ることで、UESのモノ作りの方向性に共感いただき、製品を永くご愛用いただけると考えています。
衣類よごれとは?
衣類よごれとは?
衣類を着ていれば目に見えなくても蒸発した汗や皮脂等が繊維に吸着し汚れの原因になります。
更に生活環境から受けるホコリや排気ガス等も吸着し汚れます。汚れは時間が経つと酸化し落ちにくくなります。
汚れは水溶性、油溶性、不溶性と3つの性質に分けられます。
- 水溶性…汗、尿、血液、醤油、ソース、ジュース
- 油溶性…皮脂、食用油、機械油、口紅
- 不溶性…砂、泥、すす、粘土、ホコリ
水溶性の汚れは水に、そして油溶性の汚れは油に溶けます。汚れの主要成分が水溶性や油溶性でも、 衣類には様々な汚れが同時に付着する為、水または油だけで落ちる事は殆どありません。
そこで、洗剤が必要になります。
洗剤について知っていますか?
洗剤について知っていますか?
普段使用する洗濯洗剤としてアルカリ性洗剤、または中性洗剤を選ぶ事が多いと思います。 アルカリ洗剤の方が汚れを落としやすいですが、アルカリが強くなれば、汚れは落ちやすくなりますが、肌に良くないだけでなく、衣類の染料が負け、不自然な衣類の色褪せの原因になります。その為、中性洗剤や弱アルカリ性洗剤が安心でつかいやすく、デリケートな素材(絹やウール)色柄物の洗濯には中性洗剤が適しています。
洗濯の基本
洗濯の基本
洗濯できれいに洗う為のポイントを紹介します
① 洗濯機の容量と洗濯物の量
洗濯機の7分目の洗濯物の量が目安です。洗濯物を入れすぎると汚れ落ちが悪くなるばかりか、再汚染(汚れが衣類に再び付着すること)色移り、からまりによる破れなど多くのトラブルの原因になります。
② 洗剤の使用量
洗剤メーカー指定の量を守るように入れることが大切です。 洗剤は少なすぎると汚れ落ちが悪くなり、多すぎるとすすぎが不十分になり生地を傷める原因になります。
③ 水量と水温
水量は「水を十分に吸った洗濯物」が、静止の状態で完全に水没する量が目安です。水温はふだん着洗いで約20℃が理想的です。水温が低いと汚れの落ちは悪くなり、水温が高いほど汚れはよく落ちます。 ですが温度が高すぎると衣類への負担も上がるので注意が必要です。また染色堅牢度の弱い衣類などの場合は、色落ちなどの心配も出てきます。色落ちが心配な衣類の場合は手洗い・漬け洗いで洗って下さい。
④ 洗濯時間
10分前後が基本です。短い時間で洗ってもあまり効果はありません。また、長時間の洗濯は生地を傷める原因や再汚染にもつながります。 汚れが強い場合は、洗濯前に部分洗いで対応しましょう。 洗濯では汚れを落とすことだけではなく、繊維への負担の軽減も意識しましょう。快適に永く着る為にも日々のお洗濯が大切になります。
洗濯時の注意!
洗濯時の注意!
移染
移染とは衣類同士が摩擦によりこすれ、吸着している染料が他のものに移ってしまう事です。また蒸発する化学物質が衣類に吸着する事を指します。防虫剤の臭いが移ること等も移染の一種です。移染は、温度が高いほど、そしてアルカリが高いほど発生しやすくなります。濃色品の場合、淡色品より染料の量を多くつかうので色が吸着しにくく、堅牢度が低くなり色移りしやすくなります。 そのため、洗濯の際は濃色と淡色を分けて洗うようにして下さい。綿・麻・ウール等の天然繊維は、染まり易い性質を持つため化学繊維に比べると移染しやすいので特に注意が必要です。 洗った洗濯物を濡れたまま放置する事は移染だけでなく、カビの繁殖、シワ、型崩れの原因にもなりうる為、速やかに干してください。一度衣類に付着してしまったカビは落とすのが難しく、衣類への負担も大きいのでカビが増えない環境を整え、しっかり対策する事が重要です。
汚染(衛生的な視点から)
洗濯中に繊維から剥がれ落ちた汚れが、洗濯機による熱運動や機械作用により再び繊維に付着してしまう事です。適正な洗濯機の容量、洗剤の量を守ることで出来ますが最近では洗濯槽にカビが繁殖しにくい洗剤も発売されています。洗濯機本体をきれいに保つことで合わせて汚染を防止します。
ドライクリーニングで大丈夫?
ドライクリーニングで大丈夫?
ドライクリーニングとは水を使わない洗濯方法であり、引火性の無い有機溶剤を使い洗濯します。油溶性の汚れを良く落とし水を使用しないことから繊維がふやける事が無い為、型崩れや縮み、色落ちを防ぐ事ができます。洗濯により品質が低下しやすいウールやシルクなど、デリケートな素材の衣類に適したクリーニング方法です。
ただし、水溶性の汚れは落ちにくく、ドライクリーニングのみをおこなっていると水溶性の汚れがたまり変色をおこす恐れもあります。
また有機溶剤は合成色素等も溶かすので衣類によっては色が落ちたり、ボタンが溶けたりする場合があります。全ての衣料品にはドライクリーニングができるか、どうかの洗濯の絵表示がされています。
クリーニング後の保管
クリーニング後の保管
クリーニングを終え戻ってくる衣類の殆どがビニール包装されています。持ち帰る際にシワやホコリなどから守るためです。ですがビニール包装されたままに収納してしまうと袋の中で湿気がたまりカビや変色の原因になります。また有機溶剤の乾燥不足は肌に悪く、着用してしまうと、ただれてしまう事もあります。収納前は必ず取り外し、風通しの良い所で陰干してから保管して下さい。
製品ごとの家庭での洗い方
製品ごとの家庭での洗い方
デニムの洗い方(UES推奨)
初回の洗濯(1回目)
デニムを縮ませ、生地についた糊をしっかりと落とします。
デニムに足を通す瞬間を想像し、心を込めて洗いましょう。
- フロントボタンを全て閉めて、デニムを裏返す。生地表面が洗濯槽にこすれて不自然な色落ちを防ぐためです。
- 浴槽などで約50度のお湯に1時間程度浸けておく。温度が高すぎると革パッチが縮む原因となります。浴槽の機能により水温を保つ必要はありません。なお色がお湯に出る場合があります。
- 洗剤を入れデニムを裏返しのまま洗濯機にかける。
洗剤は蛍光剤、漂白剤の入っていない中性洗剤をご使用下さい。
洗剤は蛍光剤、漂白剤の入っていない中性洗剤をご使用下さい。
☆全自動洗濯機(水位は高、標準コースでの洗濯)おすすめ!☆
高水量にすることで糊をしっかりと落とすことができます。
ドラム式洗濯機
水量が少なく生地に不自然なスジやアタリがつく原因になります。極力ご使用をお控えください。 - 裏返しのまま天日干しで乾かす。
アウトシーム(赤耳)を押さえ、割り縫い部分を整えてから干して下さい。色落ちが進んだ際に耳のアタリをきれいに出すためです。
乾燥機は革パッチの縮みや割れの原因になりますのでご使用は控えて下さい。
2回目以降の洗濯は①→③→④の手順で行ってください
カットソーの洗い方(Tシャツ・スウェット)
濃色の生地やプリントがある場合は裏返しにして洗って下さい。
表のまま洗濯しますと、衣類同士や洗濯槽との摩擦によりスジバリ(不自然なスジ状の色落ち)の発生や、生地を傷める原因になります。洗濯ネットに入れる事で毛玉を防ぎ、プリントのダメージを軽減できます。干す際は厚めのハンガーを使う事で型崩れを防ぎます。風の通りも良くなるので早く乾きます。
※1 ファスナーが付いているものは、閉じた状態で洗濯して下さい。
ファスナーの引き手が衣類を傷つける他、型崩れ、ファスナー破損の原因になります。
※2 UESは主に反応染めでTシャツを染色しています。この染料はアルカリ性の洗剤に反応し変色する恐れがあるので、中性洗剤の使用をお勧めします。
UESのカットソー製品は、染色や洗い加工など、水を通した状態でお渡しします。製品加工の最終工程で高温乾燥をおこなう為、製品は最も縮んだ状態です。はじめはタイトに感じられると思いますが、着用や洗濯を繰り返す事で体型に馴染んでいきます。永く着る事を想定し、丈夫で伸縮性の高い生地を使用しています。経年変化と共に、永年の着用にも耐え得る丈夫さを感じて下さい。
シャツの洗い方
ボタンは外し、裏返して洗濯下さい。ボタンを閉めての洗濯は水流で負荷がかかり、釦ホールが開きやすくなるほか、釦付け糸もよれて取れやすくなります。ネットに入ると糸の絡みや、摩擦による色落ちを防ぎます。
※UESのシャツはヤシの実から削り出した天然ボタンを多く採用しています。熱等により破損する恐れもあるので乾燥機の使用は控えて下さい。干す際に、袖や身頃を引っ張り、シワを伸ばし形を整えてください。ドレスシャツなどはアイロンがけがスムーズになります。
キャップの洗い方
洗濯槽にCAPのツバが当たることで発生するダメージの軽減と、縫製部分のパンク防止のため、手洗いをお勧めします。
脱水で洗濯機を使用する場合、表側を内側にしてタオルで包み、ネットに入れる事でダメージを防ぎます。風通しの良いところで干し、キャップに詰めものをして形状を整えてください。
※天然草やフェルト等の素材を、型入れして形を整えるハットは水に弱く、型崩れをおこしてしまうので基本的に洗濯は出来ません。
きれいな布を濡らし、きつく絞ったもので、スベリ(帽子の内側にある汗止めの帯)を拭き、汚れを取って下さい。
靴下の洗い方
付着した皮脂等の汚れを落とす為、裏返しで洗濯して下さい。
強く絞るような脱水方法はゴムや糸を傷めるので厳禁です。
※履き口のゴムは、乾燥時、水分が抜ける時に劣化します。 直射日光下や乾燥機使用により急激に熱を加えることで天然ゴムの品質が低下します。石油ストーブの前で乾かすことも同じです。
また塩素に弱いため塩素系の洗剤は極力避けてください。干す際は口ゴム部分を上にしてゴムに水分が溜まらないようにし、(水分は重力で下に溜まる)風通しの良いところで履き口のゴムが乾きやすいようにして下さい。
靴下といえども、セーターと同じ編み物です。より永く着用するためにも丁寧な取り扱いを心がけてください。
染料について
染料について
UESの製品に使用する染料を紹介します。
反応性染料
アルカリ性の反応液を併用する事で、布の上で化学反応により色を定着させる染色方法です。繊維と化学結合して染着するので、耐久性に優れます。また発色性に秀でた染料で、鮮やかな染色が行えるのも大きな特徴です。
粒子の細かい染料が生地の中まで染込むことから堅牢度(退色による反応性が高く化学変化をおこしやすいものは低温で染めます。反応性が低く色が吸着しにくいものは高温で染める事で高い堅牢度を確保する事が出来ます。また染色を助ける助剤などで、より色の吸収や堅牢度を高める事ができます。
この反応性の染料は染色工場でもっとも使用される染料のひとつです。丈夫で堅牢度が高く使いやすいのが特徴ですが、UESでは丈夫で自然な経年変化を楽しめるよう独自に開発した反応染料を使用しています。 色落ちの魅力を感じてください。
硫化染料
水に溶けない染料なので、硫化ナトリウムなどで加熱し溶かすことで水溶性にした後に染める方法です。繊維に染料を浸透させ、染めた後に空気にさらすことで酸化させ元の不溶性の染料に戻り発色します。さらに完全に発色させるため酸化剤につけます。一般的に不鮮明な色相ですが、複雑で味わいのある色をしています。インディゴ同様、使えば使うほど独特の風合いが生まれる染色方法です。
顔料
顔料は、絵の具などと同じで、生地を直接染めるのではなく、生地の隙間に色を絡み付けて発色させています。そのため洗濯により顔料が剥がれおちると、独特な色合いを生みます。また日光堅牢度(日焼けしにくい)が良いため、屋外に使用する 旗、のぼり、幕などに多く使用されています。一般に、よく顔料染がプリントと呼ばれますが、プリントとは技法であって顔料染を指すものではありません。
(*染料と顔料を色の粒子の大きさで例えるなら、ピンポン玉とバレーボール。粒子の大きな顔料は繊維の奥まで入っていくことが出来ず、繊維の上に付着するようなイメージです。)
直接染料
繊維をアルミなどで媒染(染料を繊維に定着させる工程)しないで、直接的に染めることができる染料です。 名前の通り染料を水に溶かし布や糸を直接染めます。洗濯や日焼けにより自然に経年変化するのが特徴です。反応性染料に比べると色は多く作れないものの、風合いある色味に仕上がります。
インディゴ染料
一般的にブルージーンズに使用されている染料で今では「藍」の主成分を人工的に製造した合成インディゴが一般的に使用されています。
またインディゴはそのままでは不溶性なため、顔料として使うこともあります。染色の際はインディゴをアルカリ剤と還元剤を用いることで一旦溶かし染めます。その後インディゴは空気に触れることで酸化
し青色に発色します。 染着力が弱く、染色を繰り返すことで濃色になります。
UESのデニムはインディゴロープ染色で糸を染めています。
この手法はロープ状に束ねた糸を染料の液槽に浸け、空気に触れさせ酸化をさせる、を繰り返します。ロープ状に束ねている為、糸の表面しか染まらず中心は白いまま残ります。(芯白)この糸をデニムのタテ糸に使うことで穿きこんだときに自然な色落ちと青と白のコントラストが生まれます。
色落ちのメカニズム
インディゴは摩擦や洗濯により色が落ちていきます。
体に合わせて皺が刻まれ、動いた時の摩擦により徐々にアタリが生まれます。濃淡のあるデニムの色落ちを楽しむには、なるべく穿き込み、しっかり皺を定着させる事が重要です。過度な洗濯を行うとアタリも安定せず全体的にフラットに色が抜けます。
インディゴの注意
染着力の弱いインディゴは摩擦により、色落ちだけでなく色移りもおこります。インディゴは50℃で色が動くので、汗や雨、湿気などの条件が揃う梅雨~夏場は、より他の衣料品に移染しやすくなりますの
で要注意です。また紫外線の強い時期に長時間外に干すと日焼けや変色の恐れがあります。すぐ使用しない場合などは通気性があり、日光の当たらない場所で保管すると品質を保つ事ができます。